2011-11-07 18:03:15
むかし、月刊アスキー編集部が生み出した社会現象である「マーフィーの法則」について、つい先日、某有名番組で紹介される予定でしたが、当日、番組を見てみると、いっさい触れられず……で、たいへん悲しい思いをしました。そこで、昔書いた、最新版『21世紀版 マーフィーの法則』についての紹介記事を再掲載してみます。
あなたは「マーフィーの法則」という言葉をご存じだろうか?
●失敗する余地があれば、失敗する
という基本法則に始まり、
●機械が動かないことを誰かに証明して見せようとすると、動きはじめる。
●バターを塗った面を下にして食パンが着地する確率は、カーペットの値段に比例する。
――などなど、科学では証明されていないが、なぜか誰もがみんな体験している、宇宙を支配している(と思われる)経験則を、総合して「マーフィーの法則」と呼ぶのである。
実は欧米では誰もが知るこの「マーフィーの法則」を、日本で爆発的に広めたのが、月刊アスキー編集部が1993年に刊行した書籍、『マーフィーの法則 現代アメリカの知性』であった。本の企画者は、当時・月刊アスキー編集長だった遠藤諭。実際に書籍の編集作業を行なったのはその部下の山口美枝子。そしてその書籍の刊行に先だって、月刊アスキー誌上で「自作マーフィーの法則」の連載を展開したのが私クドーであった(私はその後、遠藤と共に、書籍『続・マーフィーの法則 現代日本の知性』の編集作業と一部執筆を行なっている)。
さてこの「マーフィーの法則」を過去最大数の約1600も集めた最新書籍が、このたびやはりアスキー(現・アスキー・メディアワークス)より発売された。その名も、『21世紀版 マーフィーの法則』! 今回はその中から人気の法則をいくつかご紹介するとともに、日本版「マーフィーの法則」公式サイト(http://www.asciibook.com/m/)に寄せられた自作マーフィーの法則の中で、私がうなったオススメ法則をご紹介していこう。
これらの法則が必ずやある種の人々を慰め、救うことがあると、私は確信している。
◆『21世紀版 マーフィーの法則』より
①<再放送の法則> 一話しか見なかったTVドラマ・シリーズの再放送を見ると、以前見た一話である。
②<特例の法則> いちど認めた例外は、次からは当然の権利となる。
③<議論の法則> バカとは言い争うな――はたからは、どっちがバカか区別できない。
④<快楽の法則> 人生で楽しいことは、違法であるか、反道徳的であるか、太りやすい。
⑤<仕事の法則> 「できるわけがない」と主張する者は、それをやっている者の邪魔をすべきではない。
⑥<集団旅行の法則> いびきをかく者が最初に眠りにつく。
⑦ <幸福の法則> 人は結婚するまで本当の幸せが何か知らない。だが、知った時にはもう手遅れである。
⑧<スター選手の法則> あなたの好きなチームにトレードされてきたスーパースター選手は、すぐに目立たなくなる。あなたの好きなチームがトレードに出した役立たずの無名選手は、たちまちスター選手になる。
⑨<不運の法則> 母親は「こんな日もあるさ」と教えてくれたが、こんなにたくさんあるとは聞いていない。
◆公式サイトに投稿された読者の法則より
①〈トイレの法則〉走ってトイレに向かっている人は、まだ本当に急いではいない。(by Deltaka さん)
②〈話の長さの法則〉「要は……」という人ほど話が長い。(by ずらばれ さん)
③〈出かけるときの法則〉早く早くとせかしていざ行こうとすると、せかしてた人が一番遅かったりする。(by芭蕉 さん)
④〈保存の法則〉徹夜などでがんばって仕上げたゲームのデータや一生懸命書いた文書データに限ってエラーやアクシデントで消えやすい。(by ひろ@き さん)
――いかがだろうか? みなさまも、日々の生活の中で出会った不幸な体験や人間洞察などを法則にしてみてはいかがだろうか。すると少しだけ、人生を堪え忍ぶ力がわいてくるはずである。そして、良い法則を思いつかれた方は、ぜひ公式サイトへ投稿をお願いしたい。
◆笑える、世界的メガヒット金言集!!『21世紀版 マーフィーの法則』、好評発売中!
(アーサー・ブロック 著/松澤喜好&松澤千晶 訳/1,680円(税込)/368ページISBN978-4-7561-4957-2)
欧米人の英知と皮肉の集積として知られ、世界的大ベストセラーである米国No.1金言集「マーフィーの法則」が、何百もの新法則満載、100ページ増量、「英語耳」著者 松澤喜好氏&松澤千晶氏による完全新訳で、絶賛発売中! あなたを救う、笑える約1600法則を掲載。

2011-10-12 17:38:28
大昔に月刊アスキー誌上で連載していたクドーの事件簿、再録篇の第14弾です。ですので、書いてあるネタがいつも古いですが、すみません。
■ゲームと人類の変容
無性に脳がゲームの刺激を欲しがる時期がある。といっても私の場合、やりたいのはRPG(ロール・プレイング・ゲーム)ばかりなのだが、どうしてこんな体になってしまったのか、自分でも少し戸惑ってしまう。いや、これは私個人の身にばかり起こっている現象ではなく、感受性豊かな10代のころからゲームに慣れ親しんできた世代に共通の、ある種、革命的な人体の変容なのではないか、とやや空恐ろしくもある。
現にASCIIの私の同期なども、愛する新妻をほったらかして、暇さえあれば、ゲームばかりしている。独身の連中も、たまに女の自慢話をしているかと思うと、果たして、恋愛シミュレーションゲーム内での話だったりする。つくづく、女性よりもゲームが好きなのだ。しかし、ゲームでは子孫は残せない。やはり生身の女性が好きで好きでたまらないようでないと……。これは人類全体にとってゆゆしき事態と言えよう。なぜなら、子孫が増えなければ、ゲームクリエイターも減少してしまい、だんだんゲームが発売されなくなるだろうからだ。それは困る。
最近の幼児は、学校に上がる前に、ドラクエやポケモンなどをプレイする過程で字を覚え、計算も覚えてしまうのだという。現にそうした実例を私はいくつも知っている。たとえば、庶務の村上という女性の娘さんだ。よく考えてみると、実例はそれしか知らないが、しかし1件でも実例は実例である。たいへんなことである。
RPGの世界では、どんなメッセージが表示され、手持ちの金額内でどんな武器や鎧、アイテムを買うかが死活問題となる。3歳だから計算できまちぇん、字も読めまちぇん、エーン、などと甘ったれた赤ちゃん根性では生き抜けない世界なのだ。依存心さえ捨てれば、イクラちゃんだって、即座に字も計算も覚えられる。今まで、幼児と呼ばれる人達が、いかにふざけた精神構造でのほほんと過ごして来たかが、RPGにより暴かれる日は近い。
私はパラノイアチックな性格なので、一度始めると寝食を惜しんで1日20時間はRPGに没頭する。4~5日もその状態を続けると、外に出たときに、現実の街が3Dポリゴンで描かれ、スクロールしているように見えてくる。そして、気づくと、「すげ~解像度だなぁ。いったい何億ポリゴンだ? プラットフォームは何だ?」などと考えている。ふと鏡を見れば、「すげぇなぁ。俺の髭ってテクスチャマッピングじゃなくて、1本1本リアルタイム生成されて描かれているよ」とうっかり感心してしまったりもする(この辺、共感を覚える方は少なくないはずだ)。
大ヒット作であるRPG「Diablo」のやりすぎを反省し、公園に頭を冷やしに行った際にも、噴水の周りは、人通りが多くても、なぜか物を盗まれないと言う安心感をついつい抱いてしまい、手持ちの現金や持ち物を重ならないように並べてしまいたい欲望に駆られ、自分が空恐ろしくなった。この状態が悪化したら、無一文のホームレスにもなりかねない。私は慌てて噴水から離れて家路についたが、その帰途に見かけた犬の群に異常な敵意を感じるとともに、街中に置かれた魚屋の樽に対しても、トラップを警戒しつつも破壊して中のアイテムをゲットしたいという欲望をこらえるのに必死であった。
読者のゲーマーの中にも、壁に妙な出っ張りがあると、つい押してみたくなる方は多いだろう。そして押した後、耳を澄ましている自分を発見し、うろたえたことがあるはずだ。
あるいは、人にモノを尋ねに行き、
「その話だったら○○に聞いてくれよ!」
と怒られたときに、回り道をしたにも関わらず(普通の人なら腹立たしく思うはずである)、
「よかった、これでフラグが立った」
となぜかほっとしている自分に気づくことがある人も少なくないだろう。
シューティングゲームが好きな同期などは、駅の雑踏などで、サラリーマン/おばさん/子供/老人などの動き方のパターンをつい分析してしまう癖があるという。サラリーマンは直進型、おばさんはトリッキーな動きを見せるなどと考えつつ、気づくと、あの紙袋に当たり判定はあるのかなどと気づくと考えているらしい。
それにしても、ゲームをしてる時はなぜあんなに眠くならないんでしょうか。アドレナリン出まくりだからでしょうか。ベイグラントストーリーって、おもしろいんでしょうか。ファミ通でオール10点満点を出したベイグラントって、おもしろいんでしょうか。ファイナルファンタジータクティクスの2って、出ないんでしょうか。Might&Magic日本語版の過去全バージョンがPS2で出ないでしょうか。ローグアライアンスやバーズテイルは? 僕はどうなっちゃったんでしょうか。

2011-10-06 12:50:49
■製品評価1 ごくごく飲める消臭剤
M社のS女史と言えば、その仕事熱心ぶりで業界筋ではちょっと有名なのである。その熱心ぶりたるや、「今、来客中なのですが」と断わっても1時間以上電話を切ってくれないほどだ。そのSさんから、ユニークな、食べられる(?!)消臭剤が送られてきた。その名も「消臭王 森の精」。同商品は“王”の名にふさわしく、118種類の植物純天然エキスと、特殊アルコールからできており、直接皮膚に触れても問題ないうえ、厚生大臣指定検査機関である(社)東京都食品衛生協会により、その安全性が確認されているエコロジーな製品である。S女史によると、「食べていただいてもまったく問題ありませんのよ」とのこと。「つまり、普通の消臭剤として利用するほかにも、体がにおえば体につけ、のどが渇いたらそれを飲んでもいいわけですね!」と、私。
やっかいなのはその後。編集部に届いた「消臭王」をいったい誰が飲んでみるのか? 結局、「工藤、担当のお前が責任を持って飲め」とのお達しがあったものの、迷うこと数日、S女史からファクスが来た。「やっぱり飲めるという話はなしにしてください」……Sさん、俺を殺す気か!
ということで積極的に飲むのは遠慮すべきだが、その安全性の高さと消臭力はなかなかのもののよう。不燃性で、プラスチック、金属、衣類などにも影響はなく、保育園や老人ホームなど、あらゆる場面で安心して消臭できそうである。

2011-09-27 16:59:57
■初の海外出張~WordPerfect社訪問
米WordPerfect社のお招きで、'93年8月29日~9月2日まで、“世界の雑誌記者を無料でご招待”の「Windowsワープロ WordPerfect 6.0」発表ツアー(ワシントンD.C.→ユタ州)に参加した。これは私にとって初の海外体験であり、発表ツアーと言っても実際の発表は9月1日の午前中だけで、あとは米国の観光旅行という、なんかすごくうれしい企画なのであった。
いや、しかし、WordPerfect社は太っ腹であった。まず、行き帰りの飛行機は、自費だったら絶対に乗らないビジネスクラス。搭乗口からしてエコノミーとは区別されているので、途中で我々から離れてぞろぞろとエコノミーに肩を落として向かう一般の人々を見て、「や~ねぇ、貧乏って」という感じで優越感であった。
機内でも、スチュワーデスのお姉さま方がもうしょっちゅう、やれピーナッツを食えだの、ビールはいかがだの、やきもきしちゃってたいへん。寝心地のいい、ふかふかのイスでうっとりしていると、じきにビジネスクラスのディナーが(エコノミーとは違って)一品一品別々のお皿でせかすように運ばれてくる。もう気分は自堕落な養鶏場の鳥である。最後は、もう殺されて食われてもいいから、ここにずっと住ませて欲しいと思ったぐらいだ(ちなみにディナーの合間にエコノミーの様子を見に行くと、いろんな国のみなさんが、1つのプレートの上に収まりやすいよう縁取られた食べ物とも呼べない食べ物をひじをぶつけ合いながらセカセカ食べていて、哀れを誘った)。
十数時間のフライトを終えると、ホワイトハウスもすぐそばのJWマリオット一流ホテルへ。すぐにウエルカムパーティーとか言っちゃってまた飯(もう満腹ですばい!)。世界中の編集者とWordPerfect社員との立食パーティで、イギリス、フランス、香港、マレーシアほか29カ国の編集者が一堂に会し、もちろん共通語は英語。私はつたない英会話能力でなんとか、スウェーデンの「BIT」誌編集長 Dietmar氏、シンガポール「Asia Computer Weekly」誌のEileen女史とある程度仲良くなった(気がした)。
その後、ホテルの自室に行ってみると、なんと2人向けの部屋(しかもこの場合の1人というのは外人サイズのことでやたらでかい)で、しかも部屋の入口にはWordPerfect社からのプレゼントが! 果物やお菓子、飲み物などが、これでもかとどっさり入ったバスケットであった。
テレビをつけると、有料ビデオなどもあって、私は外人さんの裸は駄目なタチなのだが、後学のために時計を片手に、2種類のHなビデオを4分少々ずつ見させていただいた(5分未満、2回までなら、紹介扱いでタダだった)。とにかく、かくのごとく、何から何まで至れり尽くせりなのだ。
まぁ、あとは万事こんな感じで、王子様気分を満喫。ワシントンD.C.では国会議事堂に入ったり、WordPerfect 6.0のど派手な音楽会を鑑賞したり、ユタ州の花咲き乱れるWordPefect本社を見学させてもらったり、ロバート・レッドフォードがオーナーの山の上でバーベキューを食ったり、ミュージカルを見たり、Eileenとはかないロマンスがあったり(ウソ)、といろいろなことがあった。
とにかく感じたことは、やはりWordPerfectに対する世界のコンピュータ雑誌記者の注目度が異常に高いこと。DOS用ワープロでは世界でNo.1のシェアを誇ったWordPerfectは、徐々にWindows上でもシェアを伸ばしつつある。なにかWordPerfectを使っていない日本は、世界から取り残されているような気がした、と言えば大げさか。
かくして、王子様のような日々は終わった。WordPefectの方は「お疲れになったでしょう」と言っていたが、普段できない快眠快食ができて、かえって健康になった。
私はまた締め切りと会社の床での寝起きと3食牛丼飯の日々に戻ったのだ。今、編集部では、私のアメリカ土産のエコーホーン(構造上の工夫によって声にエコーがかかって聞こえるマイクみたいなやつ)で、副編集長の宮野が「クドー、原稿、とっとと出せ」「腹減ったぞ、牛丼、買ってこい」などとうなる声が、うつろに響いている。

2011-09-14 23:11:50
●鬼の宮野OJT担当の思い出 の巻
私が編集部に初めて配属されたときの指導員(OJT担当)は、副編集長の宮野友彦(現 週刊アスキー編集長)という人物だったが、当時はとても怖い存在だった。子供の時から縦横比そのままで拡大を続けたという巨躯(きょく)、拾った1億円を受け取りに行ったときの大貫さんのようなTシャツ&短パンといういでたち、そして常に駄菓子をばくばく食べながら会社に常駐しているその姿からは、ある種、アスキーの裸の大将的な底知れなさが感じられた。1日に何度も、席の前に座った行正(社内軍事評論家ユッキー)のミスに対し容赦なく「殺す!」と怒鳴りつける。それに応えて行正が「殺されたら、死んでしまいますがな~」と悲鳴を上げる。そんな光景を毎日のように目の当たりにしながら、私は編集の勉強を続けていた。
当時の宮野の巨躯ぶりを端的に示すエピソードがある。
ある深夜、宮野と行正、私の3人が編集部に残っていたときのことだ。宮野は、なぜかいつも蚊(か)に一人で刺されまくる。そのときも、
「何で俺だけこんなに蚊に刺されるんだ!」
と怒っていなさった。そこで私が
「表面積が大きいからではないですか」
と理由と思われるところを素直に述べると、
「クドー、……コロス」
と例のフレーズが地鳴りのように響いてきた。そこで我が先輩 行正がすかさず、
「クドー、失礼なことを言うな! 宮野さんは表面積は大きくなんかないぞ」
「ユ、ユキマサ……」
一瞬涙ぐむ宮野だったが、続けて行正が、
「だって球(きゅう)だから」
と言った瞬間に、再び
「ユキマサーッ!!」
と激怒なさっていた。そう、当時の宮野はそう表現されることもある体型だったのだ。
しかし、宮野は、変わった。アスキーの書籍部で庶務を務める千野嬢とめでたく結婚、その後は奥様の食事管理などで、すらっとした体型に生まれ変わり、ガーデンニングを楽しむ穏やかな人になったのだ!(この結婚に関しては、初代ログイン編集長の小島文隆氏が、エレベータの中で、リンゴを手の中で回しながら、「くそ~、宮野め、うまいことやりやがったな」と、荒ぶる自分をなだめるような口調で、私に語りかけてきたのが印象に残っている)。
そして先日、私は宮野夫妻ほかのみなさんとともに、バーベキューに出かけるという僥倖(ぎょうこう)に恵まれた。おだやかな宮野。持参のサザエを炭火で焼き、うちわで仰いだりなんかして。
「クドー、サザエ食うか」
なんて。この人は幸せなのだ……、そう思った次の瞬間、千野嬢がとんでないことを……。
「我が家では、私が一番地位が高くて、次がネコ」
ま、負けた。鬼のOJT担当 宮野さんが……。しかも、ネコなんかに……。いや、たぶん、これは千野嬢の照れ隠しなのだ、そうに違いない……。
その次の瞬間、私は懐かしい宮野に出会うことができた(なぜか私に対してのみ)。そして、ヒエラルキーの中で、私がいまだネコのはるか下の位置にいることを、思い知らされる日ともなったのである。







