2011-09-27 16:59:57
■初の海外出張~WordPerfect社訪問
米WordPerfect社のお招きで、'93年8月29日~9月2日まで、“世界の雑誌記者を無料でご招待”の「Windowsワープロ WordPerfect 6.0」発表ツアー(ワシントンD.C.→ユタ州)に参加した。これは私にとって初の海外体験であり、発表ツアーと言っても実際の発表は9月1日の午前中だけで、あとは米国の観光旅行という、なんかすごくうれしい企画なのであった。
いや、しかし、WordPerfect社は太っ腹であった。まず、行き帰りの飛行機は、自費だったら絶対に乗らないビジネスクラス。搭乗口からしてエコノミーとは区別されているので、途中で我々から離れてぞろぞろとエコノミーに肩を落として向かう一般の人々を見て、「や~ねぇ、貧乏って」という感じで優越感であった。
機内でも、スチュワーデスのお姉さま方がもうしょっちゅう、やれピーナッツを食えだの、ビールはいかがだの、やきもきしちゃってたいへん。寝心地のいい、ふかふかのイスでうっとりしていると、じきにビジネスクラスのディナーが(エコノミーとは違って)一品一品別々のお皿でせかすように運ばれてくる。もう気分は自堕落な養鶏場の鳥である。最後は、もう殺されて食われてもいいから、ここにずっと住ませて欲しいと思ったぐらいだ(ちなみにディナーの合間にエコノミーの様子を見に行くと、いろんな国のみなさんが、1つのプレートの上に収まりやすいよう縁取られた食べ物とも呼べない食べ物をひじをぶつけ合いながらセカセカ食べていて、哀れを誘った)。
十数時間のフライトを終えると、ホワイトハウスもすぐそばのJWマリオット一流ホテルへ。すぐにウエルカムパーティーとか言っちゃってまた飯(もう満腹ですばい!)。世界中の編集者とWordPerfect社員との立食パーティで、イギリス、フランス、香港、マレーシアほか29カ国の編集者が一堂に会し、もちろん共通語は英語。私はつたない英会話能力でなんとか、スウェーデンの「BIT」誌編集長 Dietmar氏、シンガポール「Asia Computer Weekly」誌のEileen女史とある程度仲良くなった(気がした)。
その後、ホテルの自室に行ってみると、なんと2人向けの部屋(しかもこの場合の1人というのは外人サイズのことでやたらでかい)で、しかも部屋の入口にはWordPerfect社からのプレゼントが! 果物やお菓子、飲み物などが、これでもかとどっさり入ったバスケットであった。
テレビをつけると、有料ビデオなどもあって、私は外人さんの裸は駄目なタチなのだが、後学のために時計を片手に、2種類のHなビデオを4分少々ずつ見させていただいた(5分未満、2回までなら、紹介扱いでタダだった)。とにかく、かくのごとく、何から何まで至れり尽くせりなのだ。
まぁ、あとは万事こんな感じで、王子様気分を満喫。ワシントンD.C.では国会議事堂に入ったり、WordPerfect 6.0のど派手な音楽会を鑑賞したり、ユタ州の花咲き乱れるWordPefect本社を見学させてもらったり、ロバート・レッドフォードがオーナーの山の上でバーベキューを食ったり、ミュージカルを見たり、Eileenとはかないロマンスがあったり(ウソ)、といろいろなことがあった。
とにかく感じたことは、やはりWordPerfectに対する世界のコンピュータ雑誌記者の注目度が異常に高いこと。DOS用ワープロでは世界でNo.1のシェアを誇ったWordPerfectは、徐々にWindows上でもシェアを伸ばしつつある。なにかWordPerfectを使っていない日本は、世界から取り残されているような気がした、と言えば大げさか。
かくして、王子様のような日々は終わった。WordPefectの方は「お疲れになったでしょう」と言っていたが、普段できない快眠快食ができて、かえって健康になった。
私はまた締め切りと会社の床での寝起きと3食牛丼飯の日々に戻ったのだ。今、編集部では、私のアメリカ土産のエコーホーン(構造上の工夫によって声にエコーがかかって聞こえるマイクみたいなやつ)で、副編集長の宮野が「クドー、原稿、とっとと出せ」「腹減ったぞ、牛丼、買ってこい」などとうなる声が、うつろに響いている。







