アスキー・メディアワークス 英語&海外文芸 編集者ブログ

2011-09-14 23:11:50

クドーの日記

クドーの事件簿 その11

●鬼の宮野OJT担当の思い出 の巻


 私が編集部に初めて配属されたときの指導員(OJT担当)は、副編集長の宮野友彦(現 週刊アスキー編集長)という人物だったが、当時はとても怖い存在だった。子供の時から縦横比そのままで拡大を続けたという巨躯(きょく)、拾った1億円を受け取りに行ったときの大貫さんのようなTシャツ&短パンといういでたち、そして常に駄菓子をばくばく食べながら会社に常駐しているその姿からは、ある種、アスキーの裸の大将的な底知れなさが感じられた。1日に何度も、席の前に座った行正(社内軍事評論家ユッキー)のミスに対し容赦なく「殺す!」と怒鳴りつける。それに応えて行正が「殺されたら、死んでしまいますがな~」と悲鳴を上げる。そんな光景を毎日のように目の当たりにしながら、私は編集の勉強を続けていた。


 当時の宮野の巨躯ぶりを端的に示すエピソードがある。
 ある深夜、宮野と行正、私の3人が編集部に残っていたときのことだ。宮野は、なぜかいつも蚊(か)に一人で刺されまくる。そのときも、
「何で俺だけこんなに蚊に刺されるんだ!」
と怒っていなさった。そこで私が
「表面積が大きいからではないですか」
と理由と思われるところを素直に述べると、
「クドー、……コロス」
と例のフレーズが地鳴りのように響いてきた。そこで我が先輩 行正がすかさず、
「クドー、失礼なことを言うな! 宮野さんは表面積は大きくなんかないぞ」
「ユ、ユキマサ……」
一瞬涙ぐむ宮野だったが、続けて行正が、
「だって球(きゅう)だから」
と言った瞬間に、再び
「ユキマサーッ!!」
と激怒なさっていた。そう、当時の宮野はそう表現されることもある体型だったのだ。


 しかし、宮野は、変わった。アスキーの書籍部で庶務を務める千野嬢とめでたく結婚、その後は奥様の食事管理などで、すらっとした体型に生まれ変わり、ガーデンニングを楽しむ穏やかな人になったのだ!(この結婚に関しては、初代ログイン編集長の小島文隆氏が、エレベータの中で、リンゴを手の中で回しながら、「くそ~、宮野め、うまいことやりやがったな」と、荒ぶる自分をなだめるような口調で、私に語りかけてきたのが印象に残っている)。
 そして先日、私は宮野夫妻ほかのみなさんとともに、バーベキューに出かけるという僥倖(ぎょうこう)に恵まれた。おだやかな宮野。持参のサザエを炭火で焼き、うちわで仰いだりなんかして。
「クドー、サザエ食うか」
なんて。この人は幸せなのだ……、そう思った次の瞬間、千野嬢がとんでないことを……。
「我が家では、私が一番地位が高くて、次がネコ」
 ま、負けた。鬼のOJT担当 宮野さんが……。しかも、ネコなんかに……。いや、たぶん、これは千野嬢の照れ隠しなのだ、そうに違いない……。
 その次の瞬間、私は懐かしい宮野に出会うことができた(なぜか私に対してのみ)。そして、ヒエラルキーの中で、私がいまだネコのはるか下の位置にいることを、思い知らされる日ともなったのである。

自己紹介

編集者 クドー

通称 : クドー

角川グループの出版社・株式会社アスキー・メディアワークス第八編集部 英語&海外文芸課の編集長。1991年5月~2000年12月までパソコン総合雑誌「月刊アスキー」で編集者として働き、ワープロやOfficeなどの記事や「クドーの事件簿」ほかの記事を執筆しながら、日本マーフィー普及委員会の一員として、「マーフィーの法則」支援連載や、『続・マーフィーの法則』刊行などを手がける。2001年より書籍編集者となり、『ドラゴンランス』『ダークエルフ物語』などの海外ファンタジー作品を多数刊行。現在は、『単語耳』シリーズや、『21世紀版 マーフィーの法則』、『バカはなおせる 脳を鍛える習慣、悪くする習慣』など、語学系や自己啓発系の書籍も手がける。

編集者 タジマ

通称 : タジマ

アスキー・メディアワークス第八編集部 英語&海外文芸課の編集者。2006年からドラゴンランスなどの海外ファンタジー全般を担当しています。趣味は漫画・ラジオ・アニメ・小説・音楽・映画・ネットと浅く広くをモットーにだいたい通じています(つもりです)。「目指せミリオンヒット!」、そして「D&D小説エバンジェリスト」として青春を編集にささげていく所存です。ちなみに画像は片耳の愛猫ハル。お尻を叩くとなぜか喜びます。

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